ヨーグルト 勃 vs 土

 

「勃」、「土」とは、ブルガリアとトルコのこと。それぞれ「勃牙利」「土耳古」と書きます。

馴染みの仏、伊、英などとちがって、勃、土ってちょっとピンと来ませんでした。

 

名前はよく知っているのに、漢字名はもちろん、国旗も直ぐには浮かばない国・・・。

でも、ブルガリアといえば、ヨーグルト、トルコと言えば、行進曲(?)はすぐ浮かんでくるはず。

が!!

トルコでも”ヨーグルト”と言って欲しい!!と、熱く語る方に、トルコでお会いしました。

 

イスタンブールは、黒海とマルマラ海の間のボスボラス海峡を挟んで、ヨーロッパサイド、アジアサイドといういい方をします。有名なアヤソフィアやブルーモスックなどがあるのがヨーロッパサイド。ヨーロッパサイド旧市街のエミノニュ港からフェリーでアジアサイドに渡り、北へ12キロぐらいいった所にあるカンルジャという町にある小さなヨーグルトの製造会社「Kanluca Yogrdu」を営むモハメット・アリ・サッカフさんがその人。

 

サッカフさんが作るヨーグルトは、唯々もうその美味しさで有名。量産していないため、カンルジャに行かないと手に入らないのです。
その美味しさの秘訣は・・・「量産しないこと」にあるとのこと。

工場兼ご自宅を訪ねると、本当に小さな工房なのでした。ここで出来るだけを、家族で無理なく作っているからこそ、真似の出来ない美味しさが生まれるのだとか。

うんちくはさておき、まずはヨーグルトを賞味しましょう。 

 

 カンルジャヨーグルト

カンルジャヨーグルト
カンルジャヨーグルト

200mlの容器で出されたヨーグルトは、ミルクの濃厚なクリームがドッカリと上に乗っかっていますが、その下は意外にあっさりまろやかで酸味が控え目のヨーグルト。

これに、たっぷりと粉砂糖をかけて食べるのが、最もオーソドックスなトルコ流デザートとしてのヨーグルトの食べ方だそうです。

独特の風味は、牛乳のみならず、羊や山羊のミルクもブレンドして生み出された美味しさだとか。
カンルジャヨーグルトのマークにも、牛と羊のデザインが施されています。

このヨーグルトなら、料理にかけたり混ぜたりするより、そのままで頂きたいお味です。

 

ここのヨーグルトに使われるミルクは、契約牧場から届くミルクのみを原料としており、生産量も "ミルク次第"。取れた分だけ作る、売れる分だけ作る、が経営方針なのだとか。親族数人で手がけるこのカンルジャヨーグルトは「ここに来ないと食べられないヨーグルト」として、イスタンブールではすっかり有名になってしまったのでした。

ここで、トルコ人のヨーグルトの食べ方、少しご紹介しておきましょう。

 


 料理の中のヨーグルト 


トルコではヨーグルトは、デザートというより、料理に添えたり加えたりと欠かせない食材。肉料理には必ずといっていいほどヨーグルトが添えられますし(写真中央)、ヨーグルト味のスープ(写真真右)も・・・。「アイラン」という甘味のないドリンクもあります。

写真左は、ガス入りのミネラルウォーターで割って、ミントを加えたアイラン。トルコ内陸部のアナトリア地方コンヤで訪ねたお宅でご馳走になりましたが、意外に胃がすっきりします。

 

有名なドルマ(お肉をドラムに巻き付けて炙り焼し、そぎ落としながら食べるもの)、ケバブやマントウ(餃子のようなもの)【写真左】にも、ラー油と一緒にヨーグルトが添えられます。野菜の煮物、例えばインゲンとトマトの煮物にかけたりもしますし、塩とすり下ろしたニンニク、粗くおろした胡瓜を加えた「ジャッジュック」という料理もありました。インドの胡瓜とヨーグルトのサラダ「ライタ」似た感じです。

 

こんな風だから、大抵は家庭用にはバケツサイズのリットルで販売されているのです。

ガラタ橋で釣りをする人の多くがバケツ代わりにヨーグルトの入っていた容器を利用している光景【写真右】には、なるほどお国柄を感じずにはいられませんでした。

 

ヨーグルト食を欠かさなかったサッカフさんの父方のお祖父さんは、110歳、母方のお祖父さんは97歳というご長寿を遂げられたとか。ヨーグルトが、長寿の秘訣なのだと力説します。ちなみに、トルコの平均寿命は67歳。あまり優秀とはいえないかもしれませんが、これは甘い物もよく食べるので、メタボや糖尿という別の食習慣病も影響しているのかな?

 

いずれにしても、トルコ人は、中央アジアから流入してきた遊牧民がルーツで、古よりずーっとヨーグルトやバター、チーズを食の要に生きてきたことは確かです。

 

<つづく>

トルコ〜ブルガリア